FeLV/Fiv ダブルキャリアねこ でかちゃん

発症衰弱してから還ってくるまでの記録

でかちゃん、逃亡する

再検査の後すぐぐらいから、でかちゃんのお散歩を始めてみた。あんまりにも「外に出せー!」の訴えが激しく、でもでかちゃんひとりで行かせる勇気がないわたしは、でかちゃんにリードをつけて一緒にお外を歩くということを始めてみた。うちからほんの100メートルくらいのところまで行って帰ってくる…というその程度のお散歩だった。それでちょっとは気が紛れてくれるかなーとささやかな期待をしていた。

 

ねこ様がリードつけてお散歩なんてきっと非難の対象案件なんだろうけど、もうね、生粋の心配大好き奴隷としては、できなかった…どうしてもできない…。病気もあるし、せっかく身体うんとキレイになったし(何日もかけて少しずつ蒸しタオルで拭いた)、たっくさんあったケガもだいぶん治ってきているし、そして今外は極寒だし、事故にあう可能性だってあるわけだし‥んーまだまだわたしの中で正当化している「できない」理由もしくは言い訳はあるけど、もうやめておこう。とにかく、わたしが心配で苦しくなるのがイヤだからできませんでした!!!!!!!以上!!!!

 

今年の2月3日、事件は勃発。

いつも通りハーネスつけてそれにリードをつけて、お外をお散歩しに行った。わたしも一緒に歩くことに少し慣れてきたので、その日踏み入れたことのない場所に初めてでかちゃんと突入した。……と同時に。リードの先のでかちゃんが今まで見たことない動きをした。ピョーンピョーンと跳ねながら身体をねじるような感じ。「あ、これヤバいやつだ」とすぐに気づいたけど、わたしの「すぐ」よりでかちゃんの逃走欲の盛り上がりの方が早かった。「えっっっっ!」とわたしが焦りながらでかちゃんを抑えようとする手が届く前に、でかちゃんはハーネスからスルリと抜けて、あっちに駆けて行ってしまった。

 

うわーーーーーーー!逃げたーーーーー!!!!と取り乱しそうになったけど、でかちゃんをおびき寄せるためのおやつとかも今持ってないし、追いかけたら追いかけた分逃げられるのみ。ここは見送るしかないな…。でかちゃんは、背の高い枯れた茅を巧みに避けながら走り去っていく。小さくなっていくでかちゃんの後ろ姿をずっと見ていたら、あいつ、一旦止まって振り返ってわたしの方を見たんだよね!!!キーー!腹たつ!笑。そして、再び進行方向に振り返りなおして、急斜面を駆け下りていってしまった。

 

ひとまずおうちに帰る。「あー!やっちゃったよ!わたしのバカーー!」と後悔もしたけど、その気持ちはさほど長持ちしなかった。そもそも自由を満喫していたでかちゃんをわたしの一存でおうちに入れてかくまってしまった訳だし。彼がお外の方が断然イイ!と思い逃走したのなら従うしかあるまい。

あとは、確信していたから。何せ、来る日も来る日もうちの軒先で、朝夕1日2回ごはんを食べていた実績があるんだ。必ずここに帰ってくる。腹減ったら、絶対100%間違いなく帰ってくる。はず!

 

その日の夜、でかちゃんの夜の鳴き喚きがない我が家は、恐ろしいほどに静かだった。

 

翌日の午前8:00頃。うちの他ねこたちにごはんをあげて、朝のてんやわんやが少し落ち着いた頃、ふと窓の外を眺めた。本当に何の気ナシに。なんとなく外に目をやった。

そ・し・た・ら!!!

うちの前の坂道の下のほうに、何やら動いている小動物が見える。

「でかちゃんじゃん笑笑笑」

でかちゃんはゆっくりとこちらに向かって坂道を登ってきているように見える。

「帰ってきたんだ笑笑笑」

はやる気持ちをぐいっと抑え込んで、でかちゃんがうちの庭に到着するだろうタイミングを見計らって、慎重に外に出て行った。

庭に入ってきたでかちゃん、わたしの顔をみて一声。「にゃーーーー!」(訳:ただいまーーーー!)

ほらね。帰ってきたよ、でかちゃん涙。

わたし「寒かったでしょう、楽しかった?」

でか「にゃ、にゃーーー!」(訳:うん!でもお腹すいたーー!)

わたし「よし、じゃあごはん食べようね」

わたしは慌てず慎重にそーっとでかちゃんを抱き上げ、ゆっくりおうちの中に入った。

 

f:id:sonocanto:20211025224123j:plain

うちに入ってから、たらふくごはんを食べて、そして眠りについた出戻りでかちゃん。の写真。

 

前日の逃走のことを娘に伝えていたので「今帰宅しました」と報告したら娘は一言。

「はやっ!」

うん、早かったねー。予想以上に早いご帰還だった。

 

でかちゃん朝帰りの旅のお土産は、二箇所のすり傷。この短時間で一体全体、あなたはどこで何をしてきたのか???

でも、ま、いいや。帰ってきたんだし。楽しかったみたいだし、いいや。